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COLUMN建築基準法の「斜線制限」とは?

建築基準法の「斜線制限」とは?種類と規制の内容から土地選びのポイントまで解説

マンションやアパートを建てる際は、斜線制限について確認が必要です。建築においては国や自治体などがさまざまな制限をかけており、それらを守らなければ建物を建てることができません。斜線制限には、道路斜線制限・隣地斜線制限・北側斜線制限があります。今回は、建築基準法の「斜線制限」をテーマに、種類や制限の内容などについて詳しく解説します。

斜線制限とは

斜線制限とは、建物と道路の境界線である「道路境界線」、建物の敷地と隣の敷地の境界線の「隣地境界線」からの距離に応じて、建物の各部分の高さを制限するものです。仮に、建物の高さを制限しない場合、道路や隣地に日光が当たらなくなったり風通しが著しく悪くなったりするほか、強い圧迫感が生じることがあります。

このような問題を防ぐために、道路境界線と隣地境界線に応じて建物の高さが制限されているのです。

斜線制限には、以下3つの種類があります。

・道路斜線制限
・隣地斜線制限
・北側斜線制限

なお、斜線制限は「用途地域」によって内容が異なる場合があります。まずは、用途地域について詳しく見ていきましょう。

用途地域とは

用途地域とは、土地の使用目的に応じて13個に分類したもののことです。用途地域を設けることで、地域内に住宅や工場など異なる形態の建物が混在するのを防止しています。例えば、住宅街に工場があると、煙や騒音などによって生活が妨げられる恐れがあります。

用途地域を定めることで、各建物の利用や住民の生活において支障をきたさないようにしているのです。用途地域は、以下3つのグループに分かれています。

・住居系
・商業系
・工場系

今回は、マンションやアパートにおける斜線制限をテーマとしているため、8つある「住居系」の用途地域について詳しく紹介します。なお、(1)~(8)まで数字が大きくなるほどに住宅以外の建物の建設における制限が緩和されていきます。

(1)第一種低層住居専用地域

低層住居専用地域とは、2階程度の戸建てや低層マンションを建築できる地域です。建築可能な高さは10mまでが基本で、地域によっては12mまでの高さが認められています。第一種低層住居専用地域は住宅のほか、小規模店舗、小中学校、診療所など限られた建物のみ建築できます。最も規制が厳しく、いわゆる「閑静な住宅地」は第一種低層住居専用地域であることが多いでしょう。

(2)第二種低層住居専用地域

第二種低層住居専用地域は、第一種と比べて規制が緩和されているものの、2階建て以下かつ延床面積150平方メートル以下の店舗などに限られています。例えば、小さな飲食店やコンビニなどは建築可能です。そのほか、福祉施設や診療所といった公益上必要とされる建築物も建てることができます。

多くの人が行き交う地域ではないため、静かな住宅地と言えるでしょう。

(3)第一種中高層住居専用地域

中高層住居専用地域は、住宅において高さ制限がない地域です。第一種中高層住居専用地域では、住宅のほかに教育施設や病院、500平方メートル以内かつ2階までの店舗などを建築できます。

3階建て以上のマンションが多く建ち並ぶほか、買い物に便利な施設も多く建築されている傾向があります。ただし、オフィスビルや大型店舗は建てることができないため、人が行き交う地域ではありますが(4)以降の地域と比べると静かです。

(4)第二種中高層住居専用地域

第二種中高層住居専用地域は、第一種のものに加えて延床面積1,500平方メートル以下かつ2階建て以内の店舗を建築できる地域です。中規模の商業施設を建築できるため、第一種と比べて生活の利便性が高い傾向があります。

(5)第一種住居地域

第一種住居地域は、延床面積3,000㎡までの店舗や宿泊施のほか、バッティングセンターやボーリング場など広い敷地が必要なスポーツ施設なども建築できます。施設の規模が大きくなるにつれて大規模なマンションも増えるため、活気に溢れています。

(6)第二種住居地域

第二種住居地域は、(5)までの条件に加えて、カラオケボックスやパチンコ店、麻雀店なども建築できます。幅広い用途の建築物が建ち並ぶ賑やかなエリアのため、静かさよりも利便性の良さが評価されます。

(7)準住居地域

準住居地域は、床面積150平方メートル以下の倉庫や修理工場、客席部分の床面積200平方メートル未満の映画館などを建築できます。国道や県道といった幹線道路沿いに多くみられます。車の通行量が多い場合は騒音が問題となりやすいため注意が必要です。

(8)田園住居地域

田園住居地域は、住宅と農地の共存を目的として2018年に新設された用途地域です。農業関連施設や2階建て以下の農産物直売所、農家が経営するレストランなどを建築できます。生活に影響を与える可能性がある建物は建築されないため、「閑静な住宅地+農地」な地域と言えるでしょう。

道路斜線制限

道路斜線制限は、敷地の周りにある道路から一定の係数を用いた架空の斜め線(斜線)を引き、その斜線を超えない高さの建物のみ建てることができるものです。斜め線の角度を「傾斜勾配」といい、「敷地に接している道路の反対側の境界線までの距離」の1.25倍以下か1.5倍以下と定められています。

道路斜線制限について、用途地域別に「容積率」「適用距離」「傾斜勾配」を以下に紹介します。

用途地域 容積率
※敷地面積に対する建物の延床面積の割合
適用距離
※道路までの距離
傾斜勾配
・第一種低層住居専用地域
・第二種低層住居専用地域
・第一種中高層住居専用地域
・第二種中高層住居専用地域
・第一種住居地域
・第二種住居地域
・田園住居地域
・準住居地域
200%以下20m1.25
200%超~300%25m1.25
300%超~400%30m1.25
400%超35m1.25

隣地斜線制限とは

隣地斜線制限とは、敷地の周りにある隣地境界線から一定係数を用いた架空の斜め線(斜線)を引き、その斜線を超えない高さの建物のみ建てることができるものです。用途地域に応じて20mまたは31mの高さから傾斜勾配1.25倍または2.5倍以下の高さに制限されます。

隣地斜線制限について、用途地域別に「容積率」「適用距離」「傾斜勾配」を以下に紹介します。

用途地域 基準の高さ 傾斜勾配
・第一種中高層住居専用地域
・第二種中高層住居専用地域
・第一種住居地域
・第二種住居地域
・準住居地域
20m1.25

下記、3つの用途地域には隣地斜線制限がありません。

・第一種低層住居専用地域
・第二種低層住居専用地域
・田園住居地域

これは、隣地斜線制限が高さ20mまたは31mを超える部分における制限であり、上記の用途地域ではもとmと10mか12mに高さが制限されているためです。

また、隣地斜線制限には、緩和措置があります。高さ制限を超えた部分を隣地境界線から後退(セットバック)させると、本来の隣地境界線よりも外側にあるとみなされます。セットバックによって希望の高さを実現できるかどうかは、建物全体の設計や敷地面積などで異なります。

北側斜線制限とは

北側斜線制限とは、敷地の北側にある隣地や道路から一定係数を用いた架空の斜めの線を引き、その線を越えない範囲でのみ建物を建てられるように制限するものです。5mまたは10mの高さから北側境界線までの距離の1.25倍以下に制限されます。

用途地域別の基準の高さと傾斜勾配は以下のとおりです。

用途地域 基準の高さ 傾斜勾配
第一種低層住居専用地域
第二種低層住居専用地域
田園住居地域
5m1.25
第一種中高層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域
10m

北側斜線制限に対応するために屋根に傾斜をつけたデザインにする住宅もあります。また、北側の隣地の状況によっては、緩和措置が認められます。そもそも北側斜線制限は隣地や道路の日当たりを確保するためのものです。そのため、「隣地の日当たりが良い」、「日当たりを気にする必要性が低い」といった場合は、緩和措置が認められて基準よりも高い建物を建てられる可能性があります。

例えば、「隣地よりも地盤が1m以上低いため、日当たりを確保しやすい」、「道路の反対側に川があることから、川への日当たりを気にする必要がない」といった場合が挙げられます。

自治体によっては日影規制も適用される

日影規制は、中高層の建物を建てる際に周辺住民への日当たりを確保することを目的に、日陰になる時間を抑えるように定めた規制です。住居系の用途地域において、都道府県や市区町村が「日影規制」の条例を定めている場合に適用されます。

日影になる時間を抑えるためには、建物に高さ制限が必要です。日影規制の詳細は自治体によって異なるため、マンションを建てる際は建築会社と連携して条例違反にならないよう注意しましょう。

なお、第1種低層住居専用地域や第2種低層住居専用地域は日影規制だけではなく北側斜線制限が適用されます。この場合、制限が厳しい方に従って建物の高さを決める必要があります。

マンション・アパートを建てる土地の選び方

マンション・アパートを建てるために土地を探す際は、今回解説した斜線制限について注意が必要です。斜線制限に対応するために、高さを抑える代わりに側方に広くすることも検討しましょう。

どこにでも希望の高さのマンション・アパートを建てられるわけではなく、まずはマンション・アパートの階数や高さの希望を踏まえ、斜線制限をクリアできる土地を探すことから始めなければなりません。

法律をクリアしているうえに、空室率を抑えられるであろう土地を選ぶことが大切です。マンション・アパートを建てる土地は次のポイントを押さえて選びましょう。

利便性に優れている

交通アクセスや商業施設の数、将来の発展性などを考慮しましょう。中でも交通の利便性、商業地域や学校などの施設へのアクセスが良いことは、住人にとって魅力的な要素となります。

そのほか、公園や緑地、医療機関など、住人の生活に必要な施設があるかも確認しましょう。

安心して生活できる

住民がマンション・アパートを選ぶ際は、安心して生活できるかどうかを考えます。そのため、犯罪率や交番の数や場所、騒音問題の有無などを確認しましょう。また、地震、洪水、台風などの自然災害のリスクも確認が必要です。

地盤が安定している

土地の地盤が安定しているかどうかを確認しましょう。地震や洪水などの自然災害に強いか、地盤沈下や地滑りのリスクがあるかなど、地盤調査を通じて評価する必要があります。地盤が不安定な場合、建物が沈下や傾斜が起きるリスクが高いため注意が必要です。

信頼できる業者に相談しよう

マンションやアパートを建てたい場合は、信頼できる業者に相談することが重要です。口コミや評判、過去の実績などをチェックすることで、信頼性を確認できます。また、マンション・アパートを建てたい地域に強い業者に相談しましょう。

日興ホームは、広島県ハウスメーカーです。土地活用の専門家がマンション・アパートを建てるのに相応しい土地を選定し、ご提案もしております。広島県でマンション・アパートの建築を検討されている方はお気軽にご相談ください。

まとめ建築基準法の「斜線制限」とは?種類と規制の内容から土地選びのポイントまで解説

斜線制限には道路斜線制限や隣地斜線制限、北側斜線制限などがあります。また、用途地域や自治体によって規制内容が異なるため、マンション・アパートを建てようとしている地域における規制を確認しましょう。日興ホームでは、土地活用の専門家がマンション・アパートの建築についてアドバイスしておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。

コラムニスト川原 正樹

㈱日興ホームの川原です。 日々、お客様の大切な土地の有効活用が出来るように頭を回転させております。

私生活では、空手の稽古もしくは海に出てSUPをしながら自然と戯れております。

人生一度きりですので仕事も遊びも本気で取り組み有意義なものにしたいです。

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