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建築物省エネ法とは?施行された背景・内容・住宅建築への影響について解説

建築物省エネ法とは?施行された背景・内容・住宅建築への影響について解説

建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)は、近年のエネルギー消費量の増加を踏まえ、建築物の省エネ性能の向上を図るべく定められた法律です。このような法律は施工主ではなく業者が知っておくべきものですが、施工主も把握しておくことでトラブルの防止につながります。
本記事では、建築物省エネ法が施行された背景や具体的な内容などについて詳しく解説します。

目次
建築物省エネ法とは
建築物省エネ法が施行された背景
建築物省エネ法の内容
建築物省エネ法による施工主への影響
省エネ住宅を作る方法
省エネ住宅の種類
省エネ住宅を選ぶメリット
省エネ住宅のデメリット
まとめ

建築物省エネ法とは

建築物省エネ法は、近年の建建築物のエネルギー消費量の増加を踏まえ、エネルギー消費量を抑えた住宅の建築を推進するために作られた法律です。

建築物省エネ法が施行された背景

環境省によると住宅からのCO2排出量は年感1億9,200万トンで、全体の約16%に相当します。

中でも暖房や給湯、照明、家電が大きな割合を占めているため、これらの使用を減らせるような家づくりが求められています。例えば、冷暖房の利用を減らすには、夏は涼しくて冬は暖かい住宅でなければなりません。建築物省エネ法に基づいた家づくりができれば、結果的にCO2排出量を減らすことができます。

また、2023年6月より大手電力会社の多くが電気料金を値上げします。省エネ住宅は電気料金の節約にもつながるため、経済的なメリットも大きい住宅です。

建築物省エネ法の内容

建築物省エネ法は、「規制措置」と「誘導措置」で構成されています。それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。

誘導措置

誘導措置は2016年にスタートしました。建築物の新築や増改築において、太陽光発電設備や蓄電池、全熱交換器といった空調調和設備などの設置・改修によって一定の省エネ性能を認定された場合、容積率の算定において優遇されます。

規制措置

規制措置は2017年にスタートしました。一定規模以上の建築物の新築・増改築に対して義務づけられます。

2,000平方メートル以上の非住宅建築物(工場や店舗、大型倉庫など)を新築・増改築する際は、省エネ基準に適合するとともに、適合性判定を行うことが義務づけられました。

また、300平方メートル以上の住宅を含む建築物の新築・増改築においては、省エネ計画の届け出が義務づけられました。また、建築物省エネ法の基準に適合しない場合は、所轄の行政機関より建築計画の変更や指示、命令などを受けることになります。

建築物省エネ法による施工主への影響

建築物省エネ法は、主に建築業者が影響を受ける法律です。住宅建築への影響の中でも、施工主が知っておきたい影響について詳しく解説します。

延床面積300平方メートル以上で省エネ計画の届け出が必要

延床面積300平方メートル以上の住宅の新築や増改築においては、省エネ計画を所轄の行政庁に届け出る必要があります。300平方メートル以上もの住宅を建てることは珍しいため、自分には関係がないと思うかもしれません。

二世帯住宅や45坪程度以上の総2階建ての住宅などは、延床面積が300平方メートルを超える可能性があります。なお、届け出は施工主が行うものではありますが、一般的には業者が代行します。

300平方メートル未満の住宅は建築士から省エネについての説明を受ける必要がある

300平方メートル未満の小規模住宅や建築物においては、設計時に建築士から書面で省エネについて説明を受ける必要があります。説明の内容は、省エネ基準に適合しているかどうかと、省エネ基準に適合していない場合の対応についてです。

省エネ基準に適合していない場合は、適合するように措置を行うことが必要です。そのため、省エネ基準を満たしていないことのみ説明を受けた場合は、建築士が法律で義務づけられた説明を行っていないと言えます。業者の信頼性における判断材料の1つとなるでしょう。

eマーク・BELSの表示制度

省エネに関する表示制度により、建築物の省エネ性能を示す「eマーク」を付与できます。eマークは、建築物が省エネ基準に適合している旨を行政庁が認定したことを示すマークです。

eマークが付与されている建築物は省エネ基準を満たしていることを証明できるため、売却額が高くなる可能性があります。また、第三者機関が評価した場合に表示できる「BELS」も同様です。

省エネ住宅を作る方法

省エネ住宅は、エネルギー消費量が少ない住宅です。エネルギー消費量を抑える方法について詳しく見ていきましょう。

断熱性・機密性を高める

住宅の断熱性と気密性を高めることで、室内の温度が変化しにくくなります。反対に、断熱成と機密性が低い住宅は、冷暖房を強く稼働しなければ温度を維持できません。

壁・屋根・床などには断熱材を、窓には断熱性の高いガラスを使用するほか、気密性の高いドアや窓サッシを選択することが重要です。

省エネ性能が優れた設備を導入する

省エネ性能が優れたエアコンやLED照明、給湯器などを導入することで、エネルギー消費量を低減できます。また、電気を生成する太陽光発電設備も有効です。余った電気を国に買い取ってもらうことで、経済的なメリットも得られます。

省エネ住宅を作る方法

省エネ住宅は、省エネ性能に応じて複数の種類に分かれています。それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。

長期優良住宅

長期優良住宅は、省エネ性能に加えて耐震性やバリアフリー性などに優れている住宅です。国が定める基準を満たすと、長期優良住宅の認定を受けることができます。

認定低炭素住宅

認定低炭素住宅は、二酸化炭素の排出量を抑えるための設計や構造において国の基準を満たした省エネ住宅です。断熱性能の向上や高効率な設備の導入、再生可能エネルギーの活用など、さまざまな取り組みを行う必要があります。

ZEH住宅

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は、断熱性と機密性に優れた省エネ効果に加え、太陽光発電や燃料電池などによってエネルギーを生成することで、年間のエネルギー消費量を実質ゼロにすることを目標とした住宅です。

実際にゼロにするのではなく、年間のエネルギー消費量の目標値を達成するほか、さまざまな要件を満たすことで認定されます。

LCCМ住宅

LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)住宅は、年間エネルギー消費量をゼロにすることを目標としつつ、建築時と運用時、廃棄時において二酸化炭素の排出量を抑えることを重視した住宅です。

建築時には、二酸化炭素排出量が少ない建材や施工方法を選び、運用時には省エネ設備の活用や再生可能エネルギーの導入によりエネルギー消費量を抑えます。また、廃棄時にはリサイクルや再利用の促進を図ることで、廃棄物の処理における炭素排出を抑制します。

省エネ住宅を選ぶメリット

省エネ住宅は、地球環境に優しいだけではなく、快適性や経済面などにもメリットがあります。省エネ住宅を選ぶメリットについて詳しく見ていきましょう。

年中通して快適に過ごせる

室内の温度や湿度の急激な変化は、快適性だけではなく健康面にも影響を及ぼします。断熱性や気密性を高めることで、夏や冬などでも室温を維持しやすくなります。その結果、年中通して快適に過ごせるようになるとともに、温度変化による心身へのストレスが軽減するでしょう。

光熱費を抑えられる

省エネ住宅は外気温の影響を受けにくいため、室内の温度を一定に保ちやすくなります。エアコンやファンヒーターなどの使用を最小限に抑えられるため、光熱費の削減につながります。

健康に良い影響が期待できる

省エネ住宅は、すべての部屋の室温が一定に保たれやすくなります。そのため、急激な温度変化によってリスクが高まるヒートショックの心配が少なくなり、健康面に良い影響が及びます。

省エネ住宅のデメリット

省エネ住宅を建てることを検討する際は、デメリットについても確認が必要です。省エネ住宅のデメリットについて詳しく見ていきましょう。

初期費用が高い

省エネ住宅は、そうではない住宅と比べて初期費用が高くなる傾向があります。ただし、省エネ住宅の補助金制度を活用すれば、初期費用の負担軽減が可能です。補助金の種類によって金額や要件などが異なるため、ハウスメーカーや建築業者に詳しい説明を受けましょう。

省エネ住宅の建築が可能な業者が限られる

省エネ住宅を建築するには、地域によって異なる気候条件まで考慮して建築できる業者を探す必要があります。例えば、広島県では弊社「日興ホーム」が省エネ住宅を建築できます。地域密着型のため、お客さまと向き合って理想の暮らしに寄り添い、お客さまにとって「いい家」を建てることができますので、どうぞお気軽にご相談ください。

まとめ

建築物省エネ法の施行により、省エネ住宅への注目はますます高まってきています。電気料金の値上げや二酸化炭素排出量の増加など、経済面や環境面などを踏まえても、省エネ住宅の需要は高まり続けるでしょう。

広島県東広島市の日興ホームでは、高断熱の家づくりにこだわり、省エネ住宅を建築しております。省エネ住宅を検討している方、詳しい話を聞いてから検討したい方など、どのような方でもお気軽にご相談ください。

コラムニスト:ちゅーピー住宅展示場モデルハウス 羽原 忠宏

  • 羽原 忠宏
  • 笑顔と元気が取り柄です(^^)/
    子育て世代の家づくりを得意としております。お客様に寄り添った営業、ご提案を心掛けています。一緒に楽しい家づくりをしましょう♪

    ・趣味:体を動かすこと

  • ちゅーピー住宅展示場モデルハウス
  • わが家という夢が望みどおり叶い、わが家と始まる未来が幸せに綴られる。そんな想いから生まれた自由設計の住まい。テクノストラクチャー工法で、耐震性・耐久性とデザインの自由度を両立しました。先進技術で夢の住まいを紡ぎ、長い人生の物語を幸せに紡ぐ。家族の想い出を重ねながら未来へと価値を受け継いでいく住まいをぜひ展示場でご体感ください。

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