家づくりコラム
- 省エネ住宅
省エネ住宅とは?認定基準・種類・補助金などを解説
省エネ住宅とは、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)で定められた基準を満たす住宅のことです。省エネ住宅に認定されると、補助金をはじめとするさまざまなメリットを得ることができます。今回は、省エネ住宅の基準やメリット、注意点などについて詳しく解説します。
- 目次
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省エネ住宅とは
2025年4月からすべての新築住宅・非住宅に省エネ基準への適合が義務化
省エネ住宅に関わる要素
省エネルギー性能の評価基準
省エネ住宅の種類
2023年度の省エネ住宅に関係する補助金
まとめ
省エネ住宅とは
省エネ住宅とは、省エネルギー性能に優れた住宅のことです。例えば、壁や屋根、床、窓などに断熱性が優れた素材を使用したり、断熱材を適切に配置したりすることで、外気温の影響を受けにくくなります。その結果、エアコン等の冷暖房器具の使用頻度が低下し、省エネルギーにつながります。
2025年4月からすべての新築住宅・非住宅に省エネ基準への適合が義務化
令和4年6月17日交付の改正建築物省エネ法により、原則すべての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合が義務づけられることになりました。義務化開始の予定は2025年4月です。これから新築住宅を建てる方は、省エネ基準に適合することが必須になる可能性があります。施行日はあくまでも予定のため、官公庁からの最新情報を随時チェックしましょう。
省エネ住宅に関わる要素
消費エネルギーを効率的に削減するには、以下3つの性能を追求する必要があります。
- 断熱
- 日射遮蔽
- 気密
それぞれ詳しく見ていきましょう。
断熱
断熱とは、住宅の外の熱が室内に伝わりにくくするとともに、室内の熱が外に逃げにくくすることです。例えば、断熱性が低い住宅は夏は暑くて冬は寒いため、それだけエアコンを協力に使用しなければ室温が適温になりません。一方、断熱性に優れた住宅は温めたり冷やしたりした室内の空気が外の熱の影響で変化しにくいため、エアコンの使用頻度を抑えることができます。
その結果、消費エネルギーを削減できるのです。室内の熱が壁や窓を通って室外に出ていく量を外皮全体(壁や窓など住宅の外側部分)で平均化したものを「UA値(外皮平均熱貫流率)」といいます。
このUA値が高くなればなるほどに省エネ性能が低く、数値が低くなればなるほどに省エネ性能が高い住宅と言えます。
日射遮蔽
日射遮蔽とは、太陽から降り注ぐエネルギーである「日射」が室内に入るのを防ぐことです。日射が室内に入るのをどれだけ抑えられるかを示すのが「日射遮蔽性能」です。日射遮蔽性能に優れた住宅は、日射の影響で室温が上がるのを抑えられるため、それだけ少ないエネルギーで適温に調整できます。
日射遮蔽性能は「ηAC(イータ・エー・シー)値」で評価し、数値が低くなればなるほどに省エネ性能が高いと言えます。
気密
気密とは、空気が外に漏れ出さないようにすることです。例えば、玄関ドアとサッシにすき間があると、そこからエアコンで適温に調整した空気が外に漏れ出します。同時に外から空気が入ってきて、エアコンの稼働率が上がります。
一方、気密性が高い住宅は、すき間から空気が漏れ出たり入ってきたりしにくいため、適温を維持しやすくなります。
この気密性を数値化したものが「C値」です。C値が低くなればなるほどに、気密性が高い住宅と言えます。
省エネルギー性能の評価基準
建築物省エネ法では、以下2つの基準をもとに省エネルギー性能を評価しています。
- 外皮性能(住宅の窓や外壁などの省エネルギー性能)
- 一次エネルギー消費量(エアコンや給湯器などの省エネルギー性能)
それぞれ詳しく見ていきましょう。
外皮性能
外皮とは、壁や窓、床、床下、屋根など、住宅の外側部分のことです。以下、2つの値をあわせて「外皮性能」といいます。
・断熱性能を示す「外皮平均熱貫流率(UA値)」
・外皮の日射遮蔽性能を示す「冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値」
いずれも値が低くなればなるほどに省エネルギー性能が高い住宅と言えます。ただし、地域によって気象条件が異なるため、全く同じ数値でも実質の省エネルギー性能は異なります。そのため、全国を8つに区分して、それぞれに異なる基準が設けられています。
地域区分 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
外皮平均熱貫流率(UA) [W/(㎡-K)] |
0.46 | 0.46 | 0.56 | 0.75 | 0.87 | 0.87 | 0.87 | – |
冷房機の平均日射熱取得率の基準値 ηAC[-] |
- | - | - | - | 3.0 | 2.8 | 2.7 | 6.7 |
一次エネルギー消費量基準
一次エネルギー消費量とは、主に以下4つのエネルギー消費量をどれだけ削減したかで評価する指標のことです。
・冷暖房
・換気
・照明
・給湯
一次エネルギー消費量からは、太陽光発電をはじめとする自家発電設備によって得た電力を差し引くことができます。省エネ住宅の基準はBEI≦1.0です。BEIは、建物の「設計一次エネルギー消費量」を地域や建物条件で定められた「基準一次エネルギー消費量」で除した値です。これが1.0以下であれば、省エネ住宅の一次エネルギー消費量基準に適合したことになります。
省エネ住宅の種類
省エネ住宅にはさまざまな種類があり、それぞれに基準が設けられています。省エネ住宅の種類について詳しく見ていきましょう。
ZEH(ゼッチ)
ZEH(ゼッチ)とは、「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略語で、太陽光発電をはじめとする自家発電設備で作り出した電気量が消費エネルギー量を上回る住宅のことです。家庭での消費エネルギー量を実質ゼロにすることで、Co2排出量を大幅に削減します。
ZEHの達成には、省エネルギーの冷暖房や換気システム、優れた断熱材、電気を生み出す太陽光発電などが必要です。
低炭素建築物
低炭素建築物とは、二酸化炭素の排出量が少ない建築物のことです。建築物のエネルギー使用の効率性やそのほかの性能が一定基準をクリアしている場合に所管行政庁(都道府県、市または区)が認定します。
省エネ法で定める省エネ基準に比べて、一次エネルギー消費量が20%以上削減できているほか、再生可能エネルギー利用設備、省エネ効果によるエネルギー削減量と再生可能エネルギー設備による創出したエネルギー量の合計が基準一次エネルギー消費量の50%以上など、さまざまな要件を満たす必要があります。
性能向上計画認定住宅
性能向上計画認定住宅は、建築物のエネルギー消費性能が省エネ基準を超えており、なおかつエネルギー消費性能を高めることを目的に誘導すべき所管行政庁が定めた基準に適合した住宅のことです。
LCCM(エルシーシーエム)住宅
LCCM(エルシーシーエム)住宅は、「ライフ・サイクル・カーボン・マイナス住宅」の略称で、建設時や運用時、廃棄時においてCo2の削減に取り組むとともに、再生可能エネルギーによってエネルギー消費量を実質マイナスにした住宅のことです。
ZEH住宅の条件に加え、規定容量の太陽光発電パネルの設置、UA値のさらなる厳しい基準の適合など、さまざまな条件を満たす必要があります。
長期優良住宅
長期優良住宅は、長期にわたり良好な状態で使用するために必要な条件を満たした住宅です。例えば、数世代にわたり使用するための劣化対策、優れた耐震性、将来的な維持保全計画の策定、ライフスタイルの変化に対応した間取り変更が可能な措置、バリアフリー性、省エネルギー性などの条件を満たす必要があります。
2023年度の省エネ住宅に関係する補助金
省エネ住宅の新築においては、毎年さまざまな補助金事業が行われています。2023年度の省エネ住宅に関係する補助金事業について3つ紹介します。
こどもエコすまい支援事業
こどもエコすまい支援事業は、エネルギー価格高騰の影響を受けやすい子育て世帯および若年夫婦世帯が優れた省エネ性能を持つ住宅を新築する際に、その費用を支援する事業です。子育て世帯と若年夫婦世帯の基準は以下のとおりです。
子育て世帯……申請時点で子供が18歳未満
若年夫婦世帯……申請時点で夫婦であり、なおかつ令和4年4月1日時点でいずれかが39歳以下
補助額の上限は1住戸につき100万円です。また、リフォームの場合は補助対象工事と工事発注者の属性などを踏まえ、5万~60万円の範囲で支給されます。
先進的窓リノベ事業
先進的窓リノベ事業は、窓の断熱性能の向上を目的としたリフォームを行った場合、補助対象工事の内容に応じて一戸につき5万~200万円まで補助を受けることができる事業です。冷暖房費の負担軽減や2030年度における家庭のCo2排出量の約7割削減への貢献などを目的としています。
給湯省エネ事業
給湯省エネ事業は、エネルギーの高効率な給湯器を導入する際にかかる費用を補助する事業です。導入する給湯器に応じて定額の補助を受けることができます。ただし、機器ごとに定められた性能要件を満たしたものを導入する場合に限ります。
補助対象と上限額は以下のとおりです。
給湯器の種類 | 上限額 | 台数 |
---|---|---|
家庭用燃料電池(エネファーム) | 15万円/台 | 戸建住宅:いずれか2台まで 共同住宅等:いずれか1台まで |
電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機 (ハイブリッド給湯機) |
5万円/台 | |
ヒートポンプ給湯機(エコキュート) |
まとめ
省エネ住宅は、国が定める一次エネルギー消費量や建築物のエネルギー消費性能などに基づいて認定される住宅です。補助金事業を利用することで建築にかかる費用を抑えることができます。また、省エネ住宅は2025年4月から義務化される予定のため、これから新築住宅を建てることを検討している方も、今回解説した内容をぜひ参考にしてください。
コラムニスト:アスタ住宅展示場モデルハウス 民法 翔太
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