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退職代行の社名から学ぶ、商品名のマーケティング力
退職代行の社名から学ぶ、商品名のマーケティング力
—— 日興ホームグループ広島支社「KItoNOKO」愛称が生まれるまで
商品やサービスの印象を決める「名前」。
それは、ロゴやデザイン以上に“最初に出会うメッセージ”です。
たとえば、最近話題の退職代行サービスには「モームリ」や「やめるんです」「SARABA」など、感情をそのまま表現した強いネーミングが並びます。
一見ユニークですが、どれもユーザー心理を正確に突いた言葉。
「いまの気持ちを代弁してくれる」名前だからこそ、思わず検索したくなる。これが“商品名のマーケティング力”です。
「KItoNOKO」という名前に込めた意味
日興ホームグループ広島支社の愛称「KItoNOKO(キトノコ)」も、まさにその発想から生まれました。
この建物は、木材をふんだんに使った木造建築。
そしてその外観は、ノコギリの刃のようなギザギザとした形状が特徴です。
そこから、「木」と「鋸(ノコ)」を組み合わせて誕生したのが
KItoNOKO(木と鋸)。
直感的で覚えやすく、そして一度聞いたら忘れない。
しかも、「木とノコ」をローマ字で書くと「KI TO NOKO」となり、文字の中に「NIKKO」が含まれています。「O」の字が一つ多いのですが、ご縁がありますように・・・との皆の想いがいっぱい詰まっています。
最終案に至るまでの、ユニークな候補たち
この「KItoNOKO」が決まるまでには、いくつもの案が生まれていました。
どれも個性が光るものばかりで、「ネーミング会議」自体がまるでブランド戦略の実験場のようでした。
ナンジャーレ
建築中から周囲の人が「なんじゃあれ?」と驚くほどの存在感。
広島弁の響きに親しみがあり、「アラウーノ」「オフローラ」のように一瞬“変だけどクセになる”商品名を意識していました。
聞いた瞬間に話題になる名前、という点では非常に秀逸。
タチマチコチラ
「たちまち(=すぐに)」「こちら」という広島弁を組み合わせ、
「まずはここから見てほしい」という願いを込めた名前。
「赤坂サカス」のように、口にするとリズムが心地よい。
語感のマーケティングを重視した提案でした。
グリッド
建物のデザインが直線的な升目構造に見えることから着想。
「ぐりぐり家」の焼肉網のように、形状から発想を得たネーミング。
デザイン的な発想を重視した案。
ギッザ・ギッザ(GIZZA GIZZA)
ギザギザの形状をそのまま言葉に。
子どもが口ずさみたくなるようなリズムで、親しみとキャッチーさを両立。
ブランドに「遊び心」を加える面白いアプローチでした。
ココキーナ(COCOkiina)
「ここに来てほしい」をそのまま表現。
「ナンジャーレ」のユーモアと「タチマチコチラ」の想いを融合したような言葉。
柔らかく、店舗ブランドとしても展開できるポテンシャルを持っていました。
「KItoNOKO」が選ばれた理由
最終的に選ばれたのは、「建物の特徴と素材をそのまま表現している」という一点。
どんなに語感が良くても、“何を表しているか”が伝わらなければブランドは育たない。
「木と鋸」——。
その名の通り、木造のあたたかさと、鋸のような独自の造形美。
この二つをストレートに伝える言葉こそ、建物の存在意義を最も的確に表すものでした。
ネーミングがブランドを形づくる
退職代行の「モームリ」や「SARABA」が、サービスの立場を一瞬で伝えるように、「KItoNOKO」もまた、建築の理念を一言で伝えます。
商品名とは、単なる“呼び名”ではなく、ブランドの人格そのもの。
覚えやすく、言いたくなり、広めたくなる名前には、マーケティング以上の力が宿ります。
まとめ
「KItoNOKO」は、木造建築の温もりと、ユニークな形状を兼ね備えた建物。
その名の誕生には、「話題性」「語感」「親しみ」「意味」のすべてが検討されました。
そして残ったのは、シンプルで、誠実で、長く愛される名前。
ブランドは、名前から育っていく。
それを体現したのが、「KItoNOKO」誕生の物語です。