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建築設計のAI活用

建築設計のAI活用
― パースは「描く」から「育てる」時代へ ―

近年、建築設計の現場ではAIの活用が急速に進んでいます。
図面を描く、パースを起こす、といった従来のプロセスに加え、AIによる画像処理・合成・動画化が加わることで、設計の伝え方は大きく変わりつつあります。
今回は、実際の設計フローに沿って、建築パースにAIを活用すると何が起きるのかを、段階的にご紹介します。

 

 

事例① 外観パースをAI処理する

まずは、設計初期段階で作成した外観パース。
この段階では、ボリューム感や窓の配置、屋根形状など、建築の骨格を確認することが目的です。

△初期段階で作成した外観パース画像

ここにAI処理を施すことで、
●外壁材の質感(木・塗り壁・タイルなど)が一気にリアルに
●光の入り方や影の出方が自然に補正
●空や植栽、周辺環境が追加され、完成後のイメージが明確に
といった変化が生まれます。

設計者の意図はそのままに、表現力だけを一段引き上げる
それが外観パースにおけるAI活用の大きなメリットです。

△AI処理後の画像

 

 

 

事例② 内観パースをAI処理

次に、内観パース(室内パース)です。

△初期段階で作成した内観パース画像

空間の広がりや天井高さ、窓からの光の入り方を確認するためのパースにAIを活用すると、
●床や壁、天井の素材感が一気に現実的に
●間接照明や自然光の表現が繊細に
●空間全体の「空気感」まで伝わる表現に
変化します。

△AI処理後の画像

 

さらに、ここから一歩進んで家具の変更処理を行うと、
●四角いダイニングテーブルを丸テーブルに変更し
●ソファの色や形を変更
●カジュアルからナチュラルテイストへ、といった雰囲気の切り替えも、パースを描き直すことなく瞬時に比較できます。

「家具が変わると、空間の印象がここまで変わる」
その気づきを、言葉ではなくビジュアルで共有できる点がAIの強みです。

△AIによる家具やインテリアテイストの変更処理画像

 

 

 

事例③ 外観パースと敷地の写真をAIで合成処理

続いては、敷地写真と外観パースの合成です。

△初期段階で作成した外観パース画像

 


△建築地の写真(画質が悪くても大丈夫)

実際の敷地写真にAIで建物を合成することで、
●建物の大きさが周辺環境の中でどう見えるか
●道路や隣地との距離感
●高低差や視線の抜け方
といった点が、一目で理解できるようになります。

特に住宅設計では、「思ったより大きく見える」、「圧迫感はないか」といった不安を解消する上で非常に効果的です。
図面や模型では伝わりにくい“その場所に建った姿”を、リアルに想像できるそれが合成AIの価値です。

△AI処理で、外観パースと敷地の写真を合成した画像

 

 

 

事例④ 簡易的な人物を入れたカフェのパースをAI処理

最後は、人物表現の進化です。
もともとは、スケール感を出すために配置した
「簡易的なシルエットの人物」。

△初期段階で作成した、カフェの内観パース(簡易人物入り)

これをAIで処理すると、
●表情のあるリアルな人物に変換
●年齢や服装、雰囲気が空間に自然に馴染む
●カフェで会話をする、歩く、といった日常の一場面が描かれる
ようになります。

△AIで、簡易的な人物がリアルな人物画像に処理された画像

 

さらにAIを活用することで、
●人物が動く
●光や影が時間とともに変化する
といった動画パースの作成も可能になります。

「このカフェで過ごす時間」が静止画ではなく、体験として伝わる設計プレゼンテーションは、ここまで進化しています。

 

△AIで、人物が動画処理された映像

 

 

 

AIは「設計を代替する」のではなく「伝える力を高める」

AI活用というと、
「設計そのものがAIに置き換わるのでは?」
というイメージを持たれがちですが、実際はその逆です。

何をつくりたいのか
どんな空間体験を届けたいのか
という設計者の思考や意図があってこそ、AIは力を発揮します。

AIは、
設計を考えるための道具であり、
設計を伝えるための翻訳者。

これからの建築設計は、
「描く力」+「編集する力」+「伝える力」
そのすべてを高めていく時代に入っています。

 

 

AI技術が進んでも変わらないもの

AIは設計や表現の可能性を大きく広げ、建築のプロセスを効率化してくれます。
しかし、空間に何を感じ、どんな時間を過ごしてほしいかを思い描く力は、人の感性に委ねられています。
暮らし手の声に耳を傾け、土地や風土と向き合い、想いを形にする姿勢こそが、AI時代においても変わらない建築の本質だと感じます。

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