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予てより行きたかった「竹中大工道具館」を訪ねて
予てより行きたかった「竹中大工道具館」を訪ねて
—職人の心と建築美に包まれた一日—
2025年11月3日(文化の日)、娘の通う大学の学祭があり、大阪へ行ってきました。
しかし、今回の旅の一番の目的は、以前からぜひ訪れたいと思っていた神戸の「竹中大工道具館」でした(笑)。
実際に訪れてみると、想像をはるかに超える素晴らしい展示内容と、建物そのものの美しさに感動し、最高の一日を過ごすことができました。
それでは、「竹中大工道具館」のレビューをお届けしたいと思います。
エントランスから始まる「静寂の美」
(写真:竹中大工道具館の外観)
神戸・新神戸駅からほど近く。緑に囲まれた坂道を下ると、地下に潜るように佇む木と石の建築が姿を現します。
設計は建築家・中村好文氏。地中に抱かれたような静謐さに、足を踏み入れた瞬間から心を奪われました。
地中に埋め込むように設計された建物は、外界の喧騒を忘れさせる静けさを生み出しています。
第1展示室:大工道具の美学
(写真:鉋や鋸などの伝統道具が並ぶ展示室)
ここから展示の旅がスタート。
並ぶのは日本各地の伝統的な大工道具。
長く使い込まれた鉋や鑿が、美しい木目の台に整然と並びます。
道具のひとつひとつに職人の息づかいを感じ、思わず見入ってしまいました。
第2展示室:木と建築の関係を知る
(写真:仕口・小屋組み継手模型の展示風景)
釘を使わず木と木を組み合わせる日本の技術「仕口」「継手」。
実物模型を手に取って構造を確かめられる展示は圧巻です。
木の方向、力の伝わり方、そして組み合わせの妙。
まるで木が“呼吸する構造体”であることを実感しました。
第3展示室:大工の技と心
(写真:職人の作業場再現コーナーと銘刀の展示)
次の部屋では、道具を操る職人の世界へ。
研ぎ澄まされた鉋刃を整える手元の映像、木を削るリズム。
一連の動作がまるで舞のように美しく、
「技術とは、精神の延長である」という言葉が思い浮かびました。
鉋屑が薄く、柔らかく、空気のように舞う——
職人の“究極の集中”を感じる瞬間です。
企画展示室:植物×匠の展示
(写真:日本の伝統、植物と匠の展示)
訪問時は「植物×匠」が開催中。
日本の伝統的な木造建築を支える「植物」と「匠」の技に注目し、それぞれを植物学と建築学の視点から読み解かれています。
さらに、それらが循環する社会の中でどのような役割を果たしてきたのか、その知恵と工夫をご紹介されています。
建物そのものが展示作品
(写真:中庭と回廊を望む風景)
館内を歩きながら何度も感じたのは、
「この建物そのものが最高の展示品だ」ということ。
木、石、土、光——それぞれの素材が絶妙なバランスで共鳴しています。
特に中庭に面した回廊は、自然光が柔らかく差し込み、
建築の“呼吸”を感じるような穏やかな空間でした。
ミュージアムショップと余韻
(写真:ショップの木製雑貨コーナー)
順路を終えると、ミュージアムショップへ。
鉋屑をモチーフにした文具や木製アクセサリーなど、
手仕事の温もりが詰まった品々が並んでいます。
思わず木の香りがするしおりをお土産に。
館を出る頃には、木々の揺れる音がまるで大工の槌音のように聞こえました。
感想まとめ
(写真:アプローチ)
竹中大工道具館は、単なる博物館ではなく、
**「日本建築文化の聖地」**と呼ぶにふさわしい場所。
職人の魂、木の美しさ、建築の力——そのすべてがここにあります。
建築好きはもちろん、ものづくりの心を感じたい人にも、ぜひ訪れてほしい。
建築も展示も、文句なしに“最高”。
まさに五感で味わう建築体験でした。
施設情報(参考)

竹中大工道具館
●所在地:兵庫県神戸市中央区熊内町7丁目5-1
●開館時間:9:30〜16:30(入館は16:00まで)
●休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)